結結エッセイ15 旅 福本 幸子

旅をすることが好きで、これまでにアジアを中心に30カ国以上訪れました。
私の旅のスタイルには2種類あって、仕事に入る前に刺激を受けに行く、いわゆる「筋トレ」の旅と、 仕事が終わって疲れを取り除くために行くリゾート地への「癒し」の旅行。
冷水と温水でバランスを取るような感覚です。

「筋トレ」の旅は、刺激を求めてちょっと危険だと言われるところに行くことが多いです。 できるだけ現地に馴染むように、旅行雑誌や地図も持たなければ、所持金も最低限にして、大げさですが「生きるか、死ぬか」の状況に追いやって旅をしています。 それが本能を覚醒させて、発信したり、表現したりする部分に反映されると思っています。

旅でインプットしたことを仕事で出し切って、疲れたなと思うときに行く「癒し」の旅行が、
カフーリゾートのようなリゾート旅行です。リゾートでは何もしないで、体を休めて充電します。

活動的に動くときは動く、休むときは徹底的に休む、そういう切り替えができるようになって、仕事の効率も良くなったと思います。

旅をするようになった一つのきっかけは、16歳のときに出会った香港の映画監督エリック・コットの影響で、 彼は監督のほかにも俳優、歌手、デザイナーなどさまざまなことをハイレベルにこなす人です。
「この人を超えたい」という想いから、いろんなものを「見たい」「知りたい」と思うようになってきました。

そして、もう一つが沖縄に戻ってきてから出演していたラジオ番組です。
毎日2時間、ラジオに出演して話しているうちに、アウトプットにインプットが追いつかなくなってきたので、 自分磨きのために旅をするようにもなりました。

香港や台湾で活動し、インドやヨハネスブルグなど各地を旅行して、
「沖縄が故郷で良かった」と改めて思います。
沖縄のことについて「もっと大事にしたい」「もっと知りたい」という想いが強くなりました。 そして沖縄のことを「もっと知ってほしい」とも思います。

各地を旅して思ったこと、それは、沖縄が「発信」する上で、地理的優位性があるということです。
情報を発信できれば、人を呼ぶこともできる。世界では沖縄の知名度はまだまだ低いので、
まずは沖縄を知ってもらうことが必要。そのためにはインパクトのある広告を打つことも重要だと思います。
ビジュアルであったり、キャッチコピーであったり、「これぞ沖縄!」というのをみんなで考えていく必要があるのではないでしょうか。

今年の夏には日中共同制作映画「天上の風」が公開されます。私が主演を務めさせてもらっていますが、
映画などのエンターテイメントと絡めて、観光地「沖縄」のプロモーションができたらいいと思いますし、
どうしたらもっと沖縄を知ってもらえるか考えているところです。

これからも2つの旅スタイルを通して、もっともっと色んなものを吸収し、女優としては更に複雑な作品に出て、色んな役を演じてみたいです。
そして、大好きな沖縄を守るために、また良い意味で変えるために、これまで培ってきたものを元に何か行動に移せる年にしたいですし、 まだまだ知らない沖縄も「旅」したいです。

福本 幸子

PROFILE

福本 幸子(ふくもと さちこ)

女優

1982年5月3日 アメリカ・テネシー州生まれ、沖縄県北中城村育ち。
語学は、日本語、英語、北京語、台湾語、広東語が堪能。 13歳からモデルの仕事を始め、17歳で香港に渡り、2000年に「ジェネックスコップ2」で映画デビュー。2007年から2009年まで台湾のTVドラマ「波麗士大人」に出演。台湾ワコール、SONY「Handycam」、台湾政府観光局等のCMに出演するなど台湾で活躍。 2010年より本格的に日本に活動拠点を戻し、2011年秋、沖縄先行公開の映画「琉神マブヤーTHE MOVIE 七つのマブイ」に出演。沖縄を舞台にした初の日中共同制作映画「天上の風」(2012年夏公開予定)では主演を務める。

オフィシャルサイト

次回予告

このページのトップへ