結結エッセイ01 私の心の原風景「うりずんの島」新里 聡

春、やわらかな南風がサトウキビの香りを運ぶ季節。沖縄では、この時期をうりずんと呼ぶ。実は、この季節の沖縄が私は一番好きだ。

青い海と青い空が解け合い、眼前に青いキャンパスが広がり、全てが太陽の光にきらきらと輝く頃の真夏の沖縄もよいが、このうりずんの頃の沖縄には何ともいえない安らぎと黙っていても自然と一体化できるような癒しのリズムがある。


宮古島市下地島

幼い頃、縁側でうたた寝をしていると、す〜っと爽やかな風が舞い込んできて、縫いものをしていた母が「あ〜うりずんの風だ」と静かにつぶやいた。ラジオから流れる島唄。風のそよぎに揺れる木戸の音。ときより聞こえる鳥のさえずりや虫の声。

「ふるさとは遠きにありて思うもの」の言葉の通り、長く海外に暮らしていた私には、そんな静かなひとときが、ふるさと沖縄の原風景となっていつも心を癒してくれた。

そういえば、そんな沖縄への思いを歌にした友人がいる。海外在住の彼女が、3年がかりで書き上げた歌「平和と愛の島」には、沖縄の人々、沖縄に来てくれる全ての人々、そしてかつて沖縄で生きた人々への温かい思いが綴られている。

いちゃりばちょ〜で〜(出会えば皆兄弟)、めんそ〜れ(ようこそ)、命どぅ宝(命は宝)、そんな沖縄の金言ともいえる言葉がちりばめられたこの歌に、私は度々涙する。明るい沖縄メローディーに重ねられた一つ一つの詞(ことば)が、幼い頃の思い出の風景と重なり、いつも私の心をとらえて離れないのだ。是非、YouTubeで聴いてみて頂きたい。

さて、穏やかな沖縄について書いてきたが、季節はいま夏まっただ中である。エメラルドグリーンの海を水上バイクが白い水しぶきをあげて走る様は、まさに夏の沖縄にピッタリだ!

先日も、東京と福岡から遊びにきた友人たちと西海岸をドライブし、途中の海岸で泳ぎ、絶景のシャッターポイントで海に戯れる写真を撮りまくり、夏の沖縄を満喫した。西海岸が見渡せるKafuu Resort Fuchakuからの眺めも絶景だ!



いまは、しばし「うりずんの季節」を忘れて、燦々と輝く太陽と青い海をめいいっぱい楽しみ尽くしたい。沖縄にいることがいかに恵まれていることかを体感しつつである。

優しさ、温かさ、明るさ、楽しさという音楽が聞こえてくるような南の島沖縄。皆さんの心と身体の癒しのためにも、是非、一度といわず何度でもいらして頂きたい。そして、沖縄の持つ四季折々の顔やたくさんの喜びや悲しみに彩られた沖縄の歴史にも触れて頂きたい。私の心の原風景の中のうりずんの風が皆さんの心にもきっと安らぎと立ち戻るべき原点を思い出させてくれるにちがいない。

どうぞ、世界の国々からめんそ〜れ沖縄へ!

新里 聡

PROFILE

新里 聡(しんざと さとし)

宮古島生まれ。リーダーシップ研修専門家。
有限会社アップリフトリーダーシップセンター代表取締役。
企業教育コンサルタントとして東京・沖縄を中心に活動を展開するかたわら、歌手、作家、通訳など多方面で活躍中。
著書に『 実践リーダーシップ「リーダーは君だ!」 』がある。

次回予告

泉&やよい

Essay02 沖縄の魅力 〜「観光」と「エコ」〜

PROFILE

うちなー漫才コンビ 泉&やよい

88年、大学在沖に沖縄県唯一の女性漫才コンビで結成した、泉&やよい。
大学卒業後、笑築過激団に所属。97年にフリーとなり、今年で芸能活動12年目を迎えた。現在、沖縄県内を中心にテレビ、ラジオ、舞台、イベントなど幅広いジャンルで精力的に活動中。

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